これから、単刀直入に、「M式」と愛唱されてきた、「五十音省打鍵国民キーボード」の、文字配列・キー操作を「会得」する近道をお教えしましょう。皆さんが、これこそ「キーボード王国」だ、と実感されるのは、それからです。
これを読む時は、常に「五十音ソフト」キーボード配列表を参照できる状態にしてください。
第一に、漢字の読み方(音)を、それが訓読音だろうが漢字音だろうが、正確に発音でき、その発音どおりにキーを叩く事(打鍵)を忘れないことです。漢字の音は振り仮名がない限り目で見ることはできない以上、読めるように辞書で学習するしかありません。
発音が不正確では、キーを叩いても、いらない文字は出ても、目的の文字は永久に出てきません。キーボードを相手にする限り、素直に国語の学習をするつもりで集中してください。これは何も「50音ソフト」に限ったことではありませんが。
正確な発音どおりに、キーを叩きさえすればいい、となれば「五十音ソフト」での日本語の入力は、どんなキーボードよりも易しいことです(配列表をじっと睨んで見てください)。
第二に、キーボード文字配置の原則を目と指におぼえさせてください。キーボードに正対して、左手側の中段にはアイウエオが右から左へ、「O、A、I、U、E」と並んでいます。次に右手側の、中段Oの右横から右へ、カ行、サ行、タ行、ナ行、ハ行/上へ折り返してマ行、ヤ行、ラ行、ワ行を象徴する文字K、S、T、N、H/M、Y、R、Wと並べ、そして濁音を象徴するG、Z、D、Bは、それぞれの清音の下に、半濁音を象徴するPはHの上に配してあります。これらの象徴文字を父音といいます。
となると、母音と呼ばれる「あいうえお」は左手側だけで打てます。子音と呼ばれる「かきくけこ」「さしすせそ」・・・は、「K+A、K+I、K+U、K+E、K+O」、「S+A、S+I、S+U、S+E、S+O」・・・のように「父音+母音」の右左二度打ち(二打鍵)で創めて出ます。
「50音ソフト」のキーボードに、「国民キーボード」の名称をつけたのは、これに由来します。父と母があって子が生まれる、それも「父+母」であってその逆ではない、この人倫に基づく言語音の体系は、日本独特のものです。その科学的由来は未だ究明されておりません。しかしそれは永久に解明されないでしょう。これは「無限」の領域に属する課題と思えるからです。
従ってこれが神話の領域で語られていたことには、不思議を感じません。しかも『ふることぶみ』(古事記)の創成期の部分にだけ(日本以外の神話にはない)、それがあります。皆さんも余興に探してみてください。目から鱗となるでしょう。
さてこのような、M式の真髄の一つである「太鼓打ち」は、言語構造に由来するとともに、両手の形状機能からくる人間工学、エルゴ・デザインからも由来します。ただ『五十音ソフト』は標準キーボードに宿借りするので、標準キーボードの形から来る制約は、いろいろな工夫を加えて独創的に克服していくしかありません。
第三に、ローマ字表記も日本語、ということを認識してもらいたいことです。
しばしば、日本語をローマ字方式で表すことを、「翻訳」、と難しく考えて敬遠する向きがあるようです。
翻訳とは「ある言語で表現された文章の内容を他の言語になおすこと[広辞苑]。」をいいます。「アイウエオ」を、「亜伊卯江雄」と書いても、「AIUEO」と書いても翻訳とはいいません。表記の仕方を変えただけです。
アルファベットを日本語表記に使うことを,仮名のローマ字表記といいます。この場合のアルファベットは日本語文字の一部として扱われます。26個あるアルファベットのうち、左右交互打ちで日本語に動員されるのは、母音に「AIUEO」、父音に「KGSZTDNHBPMYRW」の19個だけです。
残りの「QLJFCVX」は、日本語では次の表記に利用することができます。出力はカタカナ・ひらがな両方で出ます。これらは、外来語を原音に近いカタカナ表記にするとき、使う必要が出てきます。
すべて「AIUEO」との結合でしか出ないので、左手母音側に配置されています。このときだけは、左右交互打ちとはいきません。
Q:QA(クァ)、QI(クィ)、QU(ク)、QE(クェ)、QO(クォ)。
L:LA(ァ)、LI(ィ)、JU(ゥ)、LE(ェ)、LO(ォ)。
J:JA(ジャ)、JI(ジ)、JU(ジュ)、JE(ジェ)、JO(ジョ)。
F:FA(ファ)、FI(フィ)、FU(フ)、FE(フェ)、FO(フォ)。
C:CA(カ)、CI(シ)、CU(ク)、CE(セ)、CO(コ)。
V:VA(ヴァ)、VI(ヴィ)、VU(ヴ)、VE(ヴェ)。
X:XA(ァ)、XI(ィ)、XU(ゥ)、XE(ェ)。
なお、「じゃ、じ、じゅ、じぇ、じょ」の標準入力は、zya、zi、zyu、zye、zyo、ですが、上記に例示した打ち方でも文字は出るということです。
第四に、省打鍵の知識です。
右手の子音領域から説明します。
「きゃ、きゅ、きょ、しゃ、しゅ、しょ・・・」に使われる「や、ゆ、よ」の小文字を拗音といいます。
父音のうちY、Wだけを除く他の父音、K、S、T、N、H、M、R、G、Z、D、B、Pには必ず拗音が付いた状態で、頻繁に漢字音がでてきます。
これらには左手側にある「子音シフトキー」を押しながら父音を打つと、KY、SY、TY・・・のように拗音の頭(これは全部yである)がついてでます。続く母音によって「きゃ、きゅ、きょ、しゃ、しゅ、しょ・・・」と決定されます。
子音シフトキーを押すのは、本来左手の親指です。が、キーボードの構造によっては、親指を内側へもぐらせる必要性の多寡があるので、左手のホームポジションのある中段から下段へ指を揃えて下ろす角度によって中指又は薬指が使いやすいこともあるので、ここは個人的に決めても差し支えないでしょう。
左手の母音領域には中段、上段、下段にそれぞれ省打鍵の秘密が仕掛けられています。
ホームポジションのある中段の「あいうえお」全部に「nn」が仕込んであります。母音シフトを押しながら「あいうえお」を打つと、「あん、いん、うん、えん、おん」の音になり、漢字に変換すれば「案、員、運、縁、音」が一打で飛び出します。父音Tを打って〔母音シフト+A〕と続ければ「T+ANN=たん」となり、変換すれば〔短、端、単〕などが得られます。省打鍵でなければ、TANNと4回打つものを二回打ちで済ませます。父音Sに〔母音シフト+A〕で何が得られるか?Aの位置にI U E Oを入れたら何が得られるか?…やってみてください。
上段は、普通に打てば左側からQLJFCが出てきますが、母音シフトを押しながら打つと、「えき、うく、いく、あく、おく」の音が出るように、「eki、uku、iku、aku、oku」を仕込んであります。父音Sを打って〔母音シフト+Q〕と続けると、「せき」となり、変換すれば「関,席、籍」などが得られます。前段と同じにいろいろやってみてください。
下段は、普通に打てば左側からEI、X、V、AI、OUが、「えい、X、V、あい、おう」と出ます。変換すれば「衛、X、V、愛、王」などが得られます。母音シフトを押しながら打つと、ETU、UTU、ITU、ATU、OUTが仕込まれているので「えつ、うつ、いつ、あつ、おつ」となり、変換すると「悦、欝、逸、圧、乙」など多彩に漢字が出ます。前段と同じにいろいろやってみてください。
以上は個々の場合ですが、これが組み合わされると、更なる効果を実感することになります。「東京地検特捜部」は、T・OU・KY・OU・T・I・K・ENN・T・OKU・S・OU・B・Uの14打鍵で得られます。普通のローマ字入力では使われたアルファベットの数だけ、すなわち22打鍵を必要とします。そこへいくと仮名入力は、省打鍵と同じ14打鍵ですみますが、字種を12個動員する必要があります。省打鍵の動員字種はわずか10個です。これはえらいことです。
第五に、キーボード上のホームポジションとタッチシステムについてです。
これはタイピングを健康的に楽しむ人及びそれを職業とする人たちにとっては欠かすことのできない知識です。
キーボードの配置図を見てください。図面で、両手のそれぞれ人指し指を置く定位置AとSを確認してそこへ置いて見てください。
中指、薬指、小指は順次自動的に定位置が決まります。
親指は常時スペースキー⑤に置きます。これら左右それぞれ五指の位置を「ホームポジション」と言います。
ついで5指がそれぞれ打鍵を分担するキーに、①②③④⑤をふってあります。
①の人指し指は一番運動能力が良いので6個のキーを分担し、他の指は3個のみです(文字部部分のみの勘定ですが)。文字部分以外の記号キー、機能キーに対しても数字がふってあるので、それを守るように指を使い分けると、将来能率的な打鍵の支えになります。
この定位置をなぜホームポジションというのでしょうか?
ホームとは、家庭又は基地・本拠地の意味です。ポジショオンは位置です。この位置をホームと名づけたのは、打鍵のために指を動かし始めるとき、すべての指は基地に勢揃いしていなければならないことを強調するためです。
次いでどんな指でもひとつの打鍵が終わったら、旅先で浮気せずに、必ず一旦ホームに戻るべきこと、打鍵に動員されない指はそのままホームを離れず固守していること、を強調するためです。
指が担当の字を覚えるということは、ホームポジションを基準にその字が上にあるのか、下にあるのか、動かす角度はどのくらいか、をそれぞれの指が会得するということにほかなりません。
指ごとの守備範囲と考えれば極めて単純なことです。
一本の指で何十字も覚えるより、親指を別にすれば、3本の指で3字づつ、人指し指だけが6字づつを、それぞれ覚える方が余程負担が軽いからです。
指に担当の字をおぼえさせる、とは、どんな文字にせよ、その文字を見たら、すかさず担当指が、迷わず、キーボード上のその文字にタッチできることです。
目と指の認識回路を直結させ、指の反応速度を高めることです。『五十音ソフト』のCDには、入力練習書が掲載されています。順次ページをプリントアウトして使っていただくわけですが、その際の心構えはこれに尽きます。
最後に、英文打ちについてです。
英文となればJISに戻してQWERTYでやるしかなかろう、と思い込んでいる人が多いと推察します。
ところが違うのです。アイウエオが皮膚感覚になっている日本人が、英文テキストを前に、英語人のようにQWERTYを覚え、QWERTYで英文を打たなきゃならない義理はありません。
英語と日本語は表記こそ違うが、親戚みたいなものです。
母音「あいうえお」は、英語で「AIUEO」と書き、発音も同じ「アイウエオ」です。
違うのはキーボード上の文字配置です。母音としてまとめられていないのです。
これは英語に父音がないばかりに音の体系がくずれてしまった、その上、文字と発音の1:1関係も1:X、又はX:1に混交してしまった結果というほかありません。
要するにアルファベット自体がランダム(不規則配列)であり、そのランダムをさらにランダム(=ここにはある意図があるのでしょうが)にしたのがQWERTY配列ですから、手のつけようがありません。これに取り組むには暗記練習の地獄を抜ける覚悟が必要です。
こうなった所以(ユエン)は、今のところ、「バベルの塔」(旧約聖書創世記11章)に求めるしかありません。これも古事記と同じ「目から鱗」の口でしょう。
この認識をバックボーンにおけば、日本人が英文を打つには、英文をローマ字式に読んで『五十音ソフト』配列で、アルファベットを打てば極めて楽だろうということです。初めはQWERTYで打たなければ英文にならないのではないか、などと妄想したこともありましたがほんとに妄想に過ぎませんでした(笑)。地獄の暗記練習とは無縁だからです。
The Nikkei Weeklyから見出し文を借用しましょう。こんな具合に読んでみるのです。
Gov’t prepares new weapons to fight ATM card fraud
ゴブト プレパレス ネウ ウエアポンス ト ファイト アトム カルド フラウド
これになれると、長文の英文を途切れることなしに、ミスも少なく、肩も凝らさず打つことができました。
キーボード王国に幸あれ!
<追記>
この記事をもっとビジュアルにして、すぐ分かる超カンタンマニュアルを作りました。
■M式ソフト関連データ ダウンロードページ からダウンロードできます。
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